あなたはイチローの本当の姿を見たか

toriaezu2008-01-09

http://www.nhk.or.jp/professional/backnumber/080102/index.html
1月2日放送、1月9日に再放送されていたこの番組、あなたは見ましたか?

この番組、とても衝撃的でした。

そんな仰々しい!とお思いの方もいるかと思いますが、少なくとも僕にとってもはすごく衝撃的でしたし、驚きましたし、感動しました。なので、ちょっとここで紹介してみたいと思います。

イチロー=天才」という構図

おそらく多くの人がイチローに対して持っているイメージとは「天才」だと思います。

イチローがまた今年も年間200本安打の記録を打ち立てた、さすがは天才バッターだ」と。

でも、ここで描かれるイチローはそんな我々が思うイメージとはかけ離れた"鈴木一朗"が描写されています。

イチローの孤独な戦い

ファンの声援に懸命に応えながらも、我々の見えない一面でのしかかる重圧、プレッシャーに苦しめられ、もがいているイチローの様子が映し出されていました。

「弱い自分を隠したかった」
「幾度となく精神を追い込まれてきた」
「プレッシャーはかかる どうしたってかかる 逃げられない」
「(自分は)重圧には弱いと思いますよ」<番組内でのイチローの発言より*1>

そして、イチロー自身が次のように語っていることが非常に印象的でした。

「ユニフォームを着た「イチロー」というものと照らし合わされるのがおそらく怖かったと思うんですよね」

素顔の鈴木一朗

世間一般では、イチローは非常に落ち着きがあってクールな印象があると思われています。サッカーの中田英寿のように、自分の価値観・考えに基づいて歯に衣着せぬ発言や大胆な行動をとる、といったような、ある種日本人にはなかなか持ち合わせていない「冷たさ」のようなものを持っているように思います。

ですが、自宅でくつろぐ素の鈴木一朗はそんな気配をまったく漂わせていない、ごく普通の、どこにでもいる男性、どこにでもいる夫婦、といった印象がありました。犬とじゃれあう姿はむしろ子供のようで、くしゃくしゃの笑顔がとても印象的でした。

また、イチローはメジャーに移籍してからの7年間、毎日昼食に奥さんの手作りカレーだけを食べているらしく、普通じゃ考えられない、というかちょっと変なんじゃないか?(笑)とさえ思ってしまうほど、いわゆるスターとしての雰囲気、天才としてのオーラというものは感じられない、すこしチャーミングなイチローの一面もうかがうことができます。

イチロー」になる

しかし、試合が行われる球場に到着すると、イチローの様子は一変します。周囲を圧倒するほどの緊張感が、イチローから発せられている。

自宅でくつろいでいた鈴木一朗は、球場へ向かう道中で緊張感をみなぎらせた「イチロー」へと変わっていくのです。ここは映像からでも如実に伝わってくるほどの緊張感でした。さすがにこれには驚きました。

集中力を高め、万全の状態で試合に臨む。完璧を望む。その姿勢は次のイチローの言葉からも見てとれます。

「4割打ったら完璧なフォームかと言ったらそうではない。肉体の状態、精神の状態、その中で自分の完璧を作り上げていく」

イチローの真髄

僕の中で一番圧巻だったのはこのシーン。最後にここだけ紹介しておきます。

茂木健一郎「メジャーでこれだけ歴史に残る偉業を達成しながら、なぜなおも先を追及することができるんですか?シスラーの(メジャー最多安打)記録を抜いちゃったんですよ?」

茂木健一郎のこの質問に対して、イチローはあっけなくこう即答しました。

イチロー「そんなの関係ないですよ」

そして、こう付け加えました。

イチロー「僕の達成感の問題ですから」


他にも、日本にいたころのイチローの苦悩や今シーズンの首位打者争い、その意外な結末(!)など、非常に内容の濃い番組でした。本当に面白かったですし、自分の考えも改められるような内容でした。HNK、GJ!


みんなにはないしょだよ。

というわけで、ここだけの話ですが動画がYoutubeにありましたのでリンクしておきます。
といってもおそらく削除されてしまうだろうからゴニョゴニョするならお早めに!

再生リスト: Ichiro Special <NHK professional>


参考リンク

「自分をパブロフの犬化する」、自分で。

*1:引用部については、特に説明がないものはすべて番組内でのイチローの発言より抜粋しています。