書籍レビュー「大資産家になるためのアジア副業マニュアル」

レビュープラスより献本頂きました。

Amazon内容紹介

今こそ企業も個人もアジアの風に乗るべき時。本書は正に成功のカギを示した必読の書だと思う。――ソニー元社長 安藤国威
米プレデンシャル・フィナンシャル日本法人設立に30歳で参画し、36歳で取締役。44歳でフィリピン現地法人の社長、その後東京海上グループソニー生命保険を渡り歩いた著者。生保業界のエリート営業管理職が、自身の体験をもとに、アジアで稼ぎ、大資産家となる方法を伝授!
内容例を挙げると、◎語学力で飛躍するアジアの若者vs.陳腐な内容を日本語のみでしか話せない日本の若者 ◎人口ボーナスで見る世界、沸騰するアジア ◎収入源と運用、リスク分散の考え方―マネー力幼稚園児の日本 ◎なぜ、三カ国に住居、資産をもつことが有効なのか ◎合法的運び屋となるために ◎移動は経費ではなく投資である ◎住む場所が変われば人生は劇的に変わる 等々
アジアビジネスのチャンスをつかむための一冊!

目次

序章 今からでもアジアで大資産家になれる
第1章 なぜアジアがビジネスチャンスなのか
第2章 荒野の案山子から二本足打法へ
第3章 アジアで面白いように稼ぐために
第4章 アジアビジネスのビジョンと戦略の実現方法
第5章 魅惑のアジアに架空滞在
終章 アジアの風に乗って、最高の渡り鳥人生を

アジアへの投資

「アジアへの投資を積極的に行うのは今しかない!」といったメッセージが強く込められた書籍。その大きな要因として挙げられているのがアジアの諸国に訪れ始めている「人口ボーナス」の話。

人口ボーナスとは、子どもや学生、高齢者といった仕事に従事しない人々を除いて、働くことによって生産性を生み出す人々(生産人口)の増加率が、全体の増加率(総人口)を上回ることを指す。この人口ボーナスを迎えている間は、その国は経済成長期となる。一方で、人口ボーナス期を終えて生産人口の増加率よりも全人口の増加率が増えていくことになると、人口オーナス期に差し掛かることになる。すなわち、その国は成熟期を迎えたこととなる。
こういった人口ボーナスを日本はバブル期まで経験しており、今まさに成熟期、あるいは衰退期とも言えるような状況をたどっている。その一方で、シンガポールやタイ、マレーシアなどアジア諸国はこれから高度経済成長期に入っていく国々であることが統計的に示されている。
こういった強い経済成長をしていく国々に対して積極的に投資を行うのは人口ボーナス期間である今しかない!と訴えかけるのが今回の本のメインメッセージ。

何に投資すればいいのか

そんな投資を積極的に薦める一方で、本書では投資すべき対象は「アービトラージ」、つまり、地域ごとの価格差を利用した貿易を強く薦めている。が、個人的にはそういった「地域ごとの物価の差」を利用した商売というのはすでに大企業がはびこっている世界であり、時に価格競争にまで発展するほど、この分野はすでにレッドオーシャンとなってしまっているのではないだろうか。
貿易のための移動は「コスト」ではなく「投資」である、と訴えかける本書のメッセージはある面では理解できるが、その一方で移動することで利益を生み出すという比喩として「発電理論」というものを提唱しており、この喩えのわかりにくさも本書の良い部分を打ち消してしまっている要因のひとつといえる。

投資兼旅行本

ただ、そうは言いつつも、アジアにおける投資トレンドや不動産投資の事例など具体的な投資のあるべき姿を描いているのは関心が持てたし、アジアに旅行する際の意識するポイントは自らがアジアに住むときのおすすめ不動産の紹介まで、かなり突っ込んだ「アジアへの愛」も語っている。
そういった意味では本書は単なるアジア向け投資本というよりは、アジア全体の観光活性化とそれを活用した投資術という2つの側面を持った書籍と言える。
今回の本はある程度「投資」にフォーカスした話となっているが、「投資」だけでなく自身の仕事を海外展開したい、あるいはセミリタイア後はアジアに移住したいという思いを持っている人には一読に値する書籍だ。