使えないシステムを作って動かすのに8億円かけてしまったおバカさん

パスポート電子申請が年内で終了とのことですが、なぜか煽りを入れていこうとする表現がちらほら。

パスポート電子申請、年内停止へ=1冊のコスト1600万円!−外務省
http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/domestic/budget/

システムの保守点検などで維持費がかさむ上、利用件数が極端に少なく、パスポート1冊当たり1600万円ものコストが掛かっているためだ。

インターネット申請制度:パスポート1冊1600万円!? 利用率低迷で
http://www.mainichi-msn.co.jp/keizai/it/jyuki/news/20060705org00m300138000c.html

住民基本台帳ネットワーク稼働に伴って実現したが、利用率低迷で、1冊当たりの費用が1600万円かかっていた。同省は、同制度の廃止を含む見直しを求めた。
 
ネット申請制度は03年度から導入され、現在12県が採用している。しかし、06年3月までに発行されたパスポートは累計133件。12県の運営コストは年間約8億円で、1冊当たりの発行コストは約1600万円になる。窓口発行(約3000〜4000円)の5000倍以上だ。利用者が少ないのは、住基カードのほかICカードリーダーやパソコン用ソフトが必要な上に、戸籍謄本も郵送しなければならないため。06年度に新規導入を決めた都道府県は一つもなかった。

「パスポート1冊当たり1600万円ものコストが掛かっている」という表現があまりにもバカバカしいと思った。パスポート1枚当たりのコストを換算して提示することで「役所の無駄遣い」を責めるのは観点が違う気がします、というか逆にわかりにくいような。単純に、運営コストの8億円に対して利用回数が無さ過ぎただけのことであって、そんなに利用されないシステムに8億円もかけてること自体が問題なんですよね。
 
住基カードのほかICカードリーダーやパソコン用ソフトが必要な上に、戸籍謄本も郵送しなければならない」ような仕組みを「パスポート電子申請」と正気で呼べるわけがない。「パスポート申請はネットからできるようになりました!でも戸籍謄本は郵送!」だったらシステムにしなくていいよ!インターネットの良さをここまでないがしろにする仕組みはそうそうないぞ!むしろそんなものを作るほうが大変だ!というわけで、こんな使い物にならないシステムを莫大なお金をかけて作ったという偉業を達成したお役所の皆さまにごくろうさま、と声をかけてあげたい。
 
こういう中途半端なシステムを"電子申請"とか"ネット申請"とかよく意味のわからない単語を並べて宣伝するのであれば、「以前のパスポート申請よりも若干ながら、わずかに簡単になりました!」というようなものすごく謙虚なキャッチフレーズでちっちゃく告知しておけばいいんじゃないか、むしろそれぐらいの謙虚さを持ったほうが人の受けがいいのかもしれない、と思ったりしました。