ボクラノオンガク?

僕らの音楽」にて。
華原朋美小室哲哉について聞かれた時、自分はあの時本当につらい思いをしたけど、でもそれは結果的にファンを裏切ることになってしまったわけで、そこで初めて自分の愚かさに気付いた、といった主旨のことを話していた。今となっては素晴らしい経験だったし、彼には本当に感謝している、と。
 
しかし、それはステレオタイプな発言だと思う。

「彼には感謝している」

そう言った次のシーンで、彼女は「I'm Proud」を歌うのだった。小室哲哉との楽曲でもっとも売れた「I'm Proud」を。そこに、彼への感謝の気持ちは本当にあったのだろうか?暗い過去を自らの中で昇華させるための理由付け、それが彼への歪んだ「感謝」として現れたのではないか。小室哲哉に感謝の気持ちを捧げることによって初めて歌うことができるということ。それは過去の自分を正当化していることに変わりない。……あまりにも残酷で皮肉めいた事かもしれないが。
 
彼女が番組内で小室哲哉のことを「TK」と呼んでいた事、それは決して「感謝」という言葉だけでは言い表せない、その言葉の裏側に見え隠れする彼への憎しみにも似た感情が存在している、そんな気がした。