人間を支配する快楽

苫 LSDは依存性もないし、適量なら肉体的にもさほど危なくないんだけど、究極の洗脳薬なんだよね。LSDを飲んで、ドーパミンという快感を生む物質を大量に脳に出して、変性意識を生み出す。いわゆるトランス状態だよね。このときに他人に指示されたことは100 パーセント従っちゃう。それで、世界的に禁止されているわけ。逆に言うと、それさえやらなければ究極の極楽薬だね。桁違いのドーパミンが出るんだから。オウムがやっていたのは、それをイニシエーションと言いながら飲ませる。しかも大量に。でも、量が多すぎると、錯乱も起こすし、死亡にもつながるでしょ。そこで、熱い風呂に入れて、いっぱい汗をかかせたら、すぐにLSDが体から抜けると思ったらしい。そんなことはあるわけないのに。

松 熱いお風呂に入るのは、修行だと思い込まされていました。苦行に耐えることで悪い業(カルマ)が消滅するからと言われましたね。あのせいで死んでしまった信者も多いですけど、そうでなくても多量の薬で死ぬ可能性があったということですよね。
<対談>麻原彰晃四女・松本聡迦×脳機能学者・苫米地英人【3】|日刊サイゾー

こわいこわいこわい!

でも、本当に人間を支配することってできるんだなーという印象。
脳科学者の池谷裕二さんの本で、ネズミの脳にある快楽を生み出す神経を見つけたから、ネズミが部屋に置いてあるスイッチを押したらネズミの快楽神経を刺激するという実験をやってみたら、ネズミはスイッチを死ぬまで押し続けた*1という話があったんだけど、人間もそれと同じ状態になりうるんだなーと。

ってことは、クスリを使えばネズミの快楽実験とほぼ同じ状況になるわけで、まだ人間が快楽を感じる脳神経というのは見つかってないらしいんですけど、たとえばある行動を起こしたときにはクスリを与えて(快楽神経を刺激して)、それ以外の行動を起こしたときは何も与えなければ、その人間をコントロールしちゃえるかもしれない。人間に対するリモートコントロール

とか考えていくとやっぱ怖くなってきた、こわいねクスリって。宗教もだけど。

ちなみに上述した池谷裕二さんの本には、はたして本当に何らかの手段で人間の脳を支配することで人間そのものを支配できるのか、もし支配できたとしたら、それは人間じゃなくてただの機械なんじゃないのか、そのときの人間に「感情」は存在するのか、といった、脳の観点から人間の生、感情、哲学を考えさせてくれるおもしろい本で、かつ、とてもわかりやすい言葉で説明してくれている本なのでオススメです。

進化しすぎた脳 中高生と語る「大脳生理学」の最前線

進化しすぎた脳 中高生と語る「大脳生理学」の最前線

「いけたに」じゃなくて「いけがや」さんです念のため。

*1:目の前にネズミのごちそうのチーズやスナックを置いても目もくれずにスイッチを押し続けたらしい