くるりを聴く人ってどんな人よ

この記事、けっこう興味深い。

男性からの支持を急拡大中のくるり、初ベストの注目度は!?
http://www.oricon.co.jp/news/confidence/28130/

くるりのコアファンというのが10代20代の男性女性だというのは容易に想像がつきます。かくいう僕も10代後半でくるりのデビューシングル「東京」を聴いて涙を流し、くるり渾身のロックチューン「ばらの花」で魂を揺さぶられて、完ペキにハマっていったわけです。
 
『ベスト オブ くるり/TOWER OF MUSIC LOVER』についてアンケートをとっているこの記事においても、10代を中心に男性女性ともに興味を持っている、という結果が出ているわけですが、そんな中で購入するかどうか迷っている「40代男性」が20代男性に次いで多いという事実はかなり驚きました。その割合はなんと26%!
 
母集団がどれほどのものかが明記されていないので、この情報の信頼性は高いものとは言えないですけれども、それでも今までは有り得なかったであろうこの現象。若い世代だけでなく、年代の高い世代においてもくるりが興味を抱かれているということ。何が影響してこうなったんでしょうかね?
 
くるりはテレビにはほとんど出ないし、映画の楽曲提供も数えられるほど。最近になってリップスライムとコラボして若干テレビへの露出は増えてきていますけど、それでも40を超えた男性が好き好んでリップスライムを聴きますかね?まあまあそういう大人は僕は大好きですけれども(笑)、一般的にはあまりそういった人は少ないですよね。
 
だとすると、やはり興味の対象となったのは純粋にくるりの音楽性ではないか。
 
最近のくるりは70、80年代のブリティッシュの音に傾倒していつつも、しかしそれとは似て非なる彼らの"現在"の音を奏で続けているわけですが、その音に40代の方々が反応してきているのではないか。
 
はっきり言って、今のくるりの音を10代の男子女子が聴いたとしても、うおーすげえ!超いい曲じゃん!!ってならないと思うんですよ。「ばらの花」ぐらいの頃のくるりの音は、なんというか、音楽としての中毒性を秘めていたと思います。心にくる!とか、なぜか涙が……みたいな、心をえぐる感じの音。
 
くるりはそういったくるりとしての青春期を越えて、マジで自分たちのスタンダードな音を突き詰め始めつついるような気がする。そのスタンダードが70、80年代のブリティッシュロックにあるのか、60、70年代のブルースにあるのか、はたまたまったく過去には存在しないジャンルの枠を超えたところにあるのかはまったく皆目見当もつきませんが、そのスタンダードを模索するくるりの音の中に、"過去"の素晴らしい音が包含されていて、そこに年代の高い人たちが反応したんだとしたら、それってものすごいことじゃないですか?素敵すぎるんですけども!
 
たぶん、きっかけはささいなことだと思うんですよ。

ちょっと幸せだったりちょっと不幸せだったりする、とある家族がいて、会社勤めで日々忙しいお父さんがいて、高校生になった子どもがいて(ちょっとグレているかもしれない)、休みの日に久しぶりに子どもと話そうと子どもの部屋に行って、子どもと微妙な雰囲気になりながらも一生懸命に話のネタを探そうとしていて、何の気もなく机の上に置いてあったCDを手にとってみたら、それがちょうど子どもが聴いていたくるりだった。

みたいな?ひどい妄想ですけど(笑)、こんな感じで音楽が広まっていくなら、こんな素敵なことはないなあ。
 
あ、ちなみにこのくるりのベスト、いわゆるくるり解散だとか契約上の都合でといった理由ではなく、くるりのメンバが10年の区切りということで自ら希望したそうです。選曲も自ら行ったと、岸田くんの日記で書かれています。

岸田日記 2006/06/25
http://www.quruli.net/cgi-bin/diary.cgi?todo=detail&date=20060625

ベスト盤とか基本的に好きではない僕ですけれども、こういう形で世に出るベスト盤ならぜひとも買いたいなあと思った。

ベストオブくるり/ TOWER OF MUSIC LOVER (初回限定盤)

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