カセットテープ巡礼の旅2

中村一義 「太陽」
<A面>
魂の本
あえてこそ

再会
夕凪
日の出の日
晴れたり、曇ったり
<B面>

そこへゆけ


笑顔
生きている

いつもふたりで

さあさあやってまいりましたカセットテープ巡礼の旅(仮)。どうにかならんかね、この題名は。まあそのあたりは先延ばしにしつつ、中村一義でございます。当時GLAYやら何やらとJ−POPを牽引するメジャー・ロック・バンドが世に幅を利かせていた時代、情報量の少ない田舎者はマスメディアに作られた話題性、その上に乗っかった音楽しか知ることができないような状況だったわけですが、そのどうしようもない僕のどうしようもない状況を見事に打破してくれた作品がコレ。自分的な時間軸で言えば、エレファントカシマシ以降となるのだと思いますが、この作品はまさに新鮮な音の感覚を覚えた初体験であり音楽の革命であり高校生の僕におけるカルチャーショック部門第1位ー!!(藤崎奈々子ばりに)というわけで僕の音楽の歴史において重要な転機であり契機となった作品なのであります。とりわけ僕が魅かれたのは、中村一義の独特な「歌詞」でした。(これが本当の中村一義の魅力だと今でも思っています)

なにも、かにも?
(押し入られ、押しやって。)
ただ僕らは絶望の“望”を信じる。
なんか、わかんないかなぁ…って。
中村一義「魂の本」より

この、ただ僕らは絶望の“望”を信じる。というくだり。ここで当時の僕は泣きそうになって、鳥肌が立って、自分の価値観を強く揺さぶられて、自分自身を省みてみたりしました。青春期に絶望を体験した中村一義の、希望を見出す彼だけの言葉。それは僕が当時抱えていた絶望に対する虚脱感や無力感を真っ向から否定し、自分の考えをガラリと変える魔法の言葉でありました。
クサイ台詞と思われるかもしれませんけど……希望の光を見出す言葉の力、を信じることができた瞬間だったのだと思います。
……この出会いは、本当に大きかった!