カセットテープ

世界の中心で、愛をさけぶ」の劇中において、カセットテープは過去と現在をつなぐ重要なひとつのアイテムとして登場します。が、しかし、現在のシーンにおいてカセットテープは忘れ去られた過去のモノとして登場しています。僕はその点について、問いたい。
 
「カセットテープは、過去のものか?」
 
この問いに対する答えは、過去のもの、と言うしかないのかもしれません。CD、MD、DVDと着実に記録媒体は科学の発展と共に進歩を遂げ、最近ではi-podなる、カセットテープから見ればモンスターみたいな記録媒体まで出てきました。テープの性能では他にはまったく及びもしないですし、水に濡れたらもう駄目だし、かさばるし、テープが伸びてしまうこともよくあります。音質もそれほど良くない。(特に高音部は)しかし、しかし、それでも僕はカセットテープを擁護したい。カセットテープは過去のものかと問われれば、それはそうと言うしかないかもしれませんが、だからといって消えた過去の遺物などではなく、忘れ去られた過去のモノでもなく、今の時代にも通用する、むしろ今の時代だからこそ必要とされる、音楽の素晴らしきアイテムだと僕は言いたいのです。
 
世界の中心で、愛をさけぶ」では、少年期にお互いを恋したふたりが、それぞれの思いをテープに込めて気持ちを伝え合い、それが時を越えて大人になった人間の心を突き動かし、過去と現在に思いを巡らせる重要なキーアイテムとして登場します。当時の数少ないコミュニケーションツールが、カセットテープなのです。それは、現代における「メール」と性質の似たものだといえますが、カセットテープとメールとでは決定的に違う部分がひとつあります。それはカセットテープには「声」が含まれていることです。そしてそこに「音」が存在することです。メールよりもずっと面倒で、手間も時間もお金もかかるカセットテープには当時の思いや考え、空気や日常の息づかいといった多くの個人的で感情的な要素が込められています。そのテープに込められた多くの感情が、より強いメッセージを生み出すのかもしれません。
 
僕は、今もカセットテープを愛用しています。その数、120本以上(今もちょっとずつ増えてます)どうせだから、当時の空気感とか日常とか思い出とか(難しい言葉で言えば「時代性」)を今改めて体験しておこうかと思いました。……というわけで、今日から僕が所有する膨大な量のカセットテープをひとつひとつ紹介していきたいと思います!たいした目的はないですし、アーカイブス的な役割を果たすわけでもなく、ただただ当時の匂いとか青春を生きてた自分(たぶんね!)の考え方とかその変遷とかを社会人になった今、もう一度再確認しようかと。そんな自己満足的な考えのもとでやっていこうと思います。
 
もしその中で当時の苦い思い(あぁ青春!)とか思い出を共有したり語り合えたりできたら嬉しいです。どうせはてなでやるんだから、何事にも双方向でありたい。ま、それは理想ですけれども。というわけで今日から始まります「カセットテープ巡礼の旅(仮)」、よろしくお願いいたします!