唐突ですが

僕は高校3年の頃から、まったくゲームをしなくなった。理由はとても簡単で、大学受験で勉強が忙しくなったからだ。
それまではずっと家にこもってゲームをやり続ける生活だった。だからといって別に友達がいないとか(少ないけれども)引きこもりだとか(それに近かったけれども)ではなかった。当時はよく言われた、まぎれもない「ゲーマー」だった。(今でも言うのかな)
ロールプレイングゲームのどんなイベントが先に待ち受けているかというワクワクした気持ちやアクションの思わず大声をあげてしまうような臨場感、シューティングの駆け引きにも似たあのスリル……挙げれば本当にキリがないゲームの魅力。
あの頃あれだけ熱中していたゲームに、今は何の興味も持たなくなってしまった。
なぜだろう。
いつの頃からこうなってしまったのだろう。小さい頃からずっとゲームに夢中で、大人になったらいつか自分でゲームを作ろうと考えていた。そんなあの頃の想いも、今ではただの記憶でしかなくなった。
時間がそうさせたのだろうか。歳を重ねて、いろんなことを経験したからだろうか。自分の視野が拡がったということなのだろうか。今の僕にはまだわからない。
社会的には、ゲームをすることはあまり良いこととはされていない。仮想現実に逃げ込む行為だとか現実とゲームとの見分けがつかなくなるとか子供の健康や教育に悪影響だとか言われるような時代になった。そんな僕も、「ゲーム=現実逃避」と考えるようになっていたのかもしれない。
しかし、今日部屋の整理をしていたらあるゲーム雑誌の切り抜きを発見した。おそらく6、7年前の記事だと思う。その切り抜きの記事は、ゲームレビューのページだった。当時の自分が感銘を受けて、大事にとっておいたのだろう。面倒くさくて、切り抜きなんてめったにしなかったのだから。
僕はあの頃の感傷に浸りながら、そのゲームレビューを読んだ。そして、不覚にも、泣いた。泣いてしまった。
当時の思い出とかよく遊んだゲームの事とか今の自分の状況とかが全部頭の中に浮かんできて、思わず涙腺が緩んだ。そのレビューの記事の締めくくりには、こう書いてあった。

『俺は思う。ゲームとは現実逃避のための道具ではなく、明日を生きる希望の箱なのだ。』

 
 
「あの頃の自分がいたからこそ、今の自分がいる」。そんな当たり前のことに、僕は改めて気が付いた。そして僕はこの新天地で、新たな自分の希望を追い求めていこうと、強く心に誓った。